中村嘉子 青い肢体の戯れ
目 次
第一話 挿入たい好奇心
第二話 愛姦少女
第三話 恥肉の戯れ
第四話 新人類グルーピー
第五話 猥語犯し
第六話 じょりじょり恥戯
第七話 視悦の中指
第八話 泡立つ陰唇
(C)Yoshiko Nakamura
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第一話 挿入たい好奇心
1
面白いカッコをした、なんだか妙に可愛いヤツだけれど、〃騒音〃を発するのが唯一の難点だった。
〈難点も難点、大々難点だわよ、まったく……。音がうるさいおかげで、使いたくても使えないときがしょっちゅうなんだから……。すっごい危険を犯して買ったのにィ……〉
タオルにしっかりと包み、さらにその上にラップを被せて、勉強机の裏側に紙テープで貼りつけておいたそれを、知子は、久しぶりに手に持った。
ただの女高生のオモチャにしては少し重く、〃健康機具〃にしては、軽い。
掌で、ひさびさにその重さを感じた知子は、まるで期末テストの結果を見るときのように、ドキドキしてきた。
ひさびさ、と言っても、五、六日ぶりなのだ。女高生の平均的なデートの度数と比べると、ちっとも久しぶりではない。
だが、知子にとっては、思わず頬ずりしたいほど、懐かしい、いとおしい重さだった。
〈ママのやつ、やっと出てってくれたわよ。カラオケだってさ。下手なくせにねえ〉
口うるさくてケチな母親だが、家を空けてくれたので、今夜だけは〃いいママ〃だなと思いながら、知子は、ラップを剥がし、タオルの中からそれを出した。
と、思わずそれに話しかけた。
恋人とは、やはり違う。友だちのような、BFのような、いや、共犯者のような親しみを、それに感じるのだ。
通信販売で、八千円で買った。差出し人が個人名で送られてくる、よくある怪しげな通販だ。
個人名とは言っても、詮索好きの母親に中を見られはしないかと、手にするまで気が気ではなかった。
なにしろ、みつかったら大騒動になるシロモノである。
だが、なんとか無事に手にすることができ、この二カ月ちょっとの間、愛用している。
〈ちょっとツヤがないわねえ。このあいだ、洗わないでしまっちゃったのかなあ……〉
においを嗅いでみた。
すると、素材の独特のにおいに混じって、かすかに、〃自分のにおい〃がするような気がした。
〈洗わなかったんだわ、やっぱ……〉
綺麗好きな知子なのだが、母親が帰って来るのを恐れて、洗わずに慌ててしまい込むときが、ときどきあるのだ。
考えてみれば、前回もそうだった。
十時まで帰らないと言っていた母親が、気まぐれにも九時前に帰って来てしまったのだ。
ちょうどし終わったばかりだった知子は、大慌てでそれを隠したものだ。
危機一髪だった。洗うヒマどころか、拭き取るヒマさえなかった。
〈くさいね。でも、ま、いいか。自分のにおいなんだから。付いてても、エイズになる心配ないしね〉
においには、あまり執着がない。
いまのところ、こだわっているのは感触だけだ。
いかに挿入、いかに擦り、そして、いかに押しつけるか、なのだ。視覚や嗅覚をあれこれする余裕など、まだない。
処女ではないが、処女同然の経験の浅さなのだ。
「今日もがんばるんだよ、カンビくん」
カーテンに隙間がないことを確認しながら、知子は、せっかちに服を脱ぎ捨て、それを――バイブレーターを握りしめて、ベッドに仰臥した。
『新型こけし・甘美』
くねりと振動、マメ責め付
電源内蔵型
〃超静音〃でないのがちょっと不満だが、八千円は安かった――と、知子は思っている。
買うときには、勇気が要った。処女同然の下半身で、はたして感じることができるかどうか心配で、高いと思っていた。
だが、杞憂だった。
〃カンビくん〃は、充分に感じさせてくれた。
毒々しいような肌色で、変なカッコをしているが、期待を裏切らないところが、ニクイヤツだ。
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