一条きらら 美少女 赤い喪失
目 次
美少女 赤い喪失
フェラチオ体験
女高生・英里子 淫交あとさき
桃色後遺症
処女喪失は二度
(C)Kirara Ichijo
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美少女 赤い喪失
秘密の匂い
部活のある日だったが、亜里沙は、さぼることにした。
一緒に美術部に入っている今泉明彦と、小さな喧嘩をしたばかりだからだ。今泉明彦は高校一年の時からのボーイフレンドである。
現在、亜里沙は高校二年、十七歳。今泉明彦も同学年、ただし、クラスは二年になってからは別々だった。
美術部の部室に来て、今泉明彦は多分、亜里沙の姿がないのに失望して、夕方あたり電話をかけてくるかもしれない。
喧嘩した時、先にあやまるのはいつも明彦の方だった。
だから亜里沙は、彼を焦らすつもりで今日は部室にも顔を出さず、家へも電話がかかるかもしれないから、なるべく遅く帰ろうと思った。
渋谷駅で途中下車して、亜里沙は片手に学生鞄を提げながら、駅前の繁華街をぶらぶらと歩いた。
午後三時半である。
ハンバーガーショップに入って、フライドポテトとチーズバーガーとコーンスープを買ってカウンター席で食べた。
他校の生徒たちのグループが楽しそうにお喋りしている。
こんな店にはやはり、友達と来なくてはつまらないと思った。
店を出る。ブティックや靴屋のショーケースを覗く。それから書店に入る。
コミックの単行本のコーナーをゆっくり歩き回りながら、今泉明彦のことが、ふと思い出された。
彼とはキスをし合う仲だった。Bも、ちょっと体験した。といっても三回ぐらいだ。
十七歳にもなれば、Cを経験している友達もいるが、亜里沙はそこまでいくのはまだ、ちょっと怖い気がする。
明彦も、強引に亜里沙に襲いかかったりはしない。それは、彼のやさしさかもしれないが、彼も未経験で勇気がないのかもしれない。
(でも、いつかきっと……)
彼にCまで許してしまいそうだ。亜里沙の乳房をまさぐったり、スカートの中に手を入れる明彦は、若い男の欲望が止まらなくなる、といった感じなのだ。熱い息づかい。亜里沙をギュッと抱き締めたり、大事な部分に触れる指がブルブルふるえたり……。
その時のことを思い出して、亜里沙は顔が熱くなった。
エッチなことを考えている自分が、恥ずかしくなり、思わず周囲を見回してしまう。
けれども誰も、亜里沙のひそかな、エッチな空想には気づいてもいない。そのコーナーは当然、ティーンエイジャーばかりだ。
単行本で、愛読している新刊はまだ出てないので、亜里沙はコミック雑誌コーナーへ移動した。
そこで二冊買う。
書店を出て、駅に向かって歩いている時、亜里沙は通行人の中に父の姿を見て「あっ」と小さく呟いた。
父は一人ではなかった。
ワンレン・ヘアの若い女が、父に寄り添うようにして歩いている。
亜里沙は表情をこわばらせていた。四十八歳の父と二十代の女の二人の姿から、何となく不道徳な匂いを感じとったのだ。
(不倫関係、かしら……)
と呟いたが、父は独身だから、不倫ではないのだと気づいた。
母は二年前、クモ膜下出血で亡くなったのだ。
一人っ子の亜里沙は、それ以来ずっと、二人暮らしだった。
父と若い女は、あっという間に駅の構内の雑踏に紛れてしまった。
(全然似合わない。パパとあの女の人)
と亜里沙は、ふくれた顔になる。第一、年齢が離れ過ぎている。
でも……、パパだって男だ。母を亡くしてこの二年、再婚もしてないし、明彦ほどじゃないにしても性の欲望はあるだろう。
(あの二人、どこへ行って来たのかしら)
(もしかしたら、ラブホテル……?)
(昼下がりの、上司とOLの社内情事……)
オフィスラブをしている男女が、勤務時間中にホテルへ行ったりする、と亜里沙は最近、美容院に置いてある女性週刊誌で読んだばかりだ。
(不潔だわ、パパなんか)
小田急線の代々木上原駅に着くまで、亜里沙は頭に血を昇らせていた。
自宅に帰ってからも、さっき見た父と女の人の姿が眼に灼きついている。
妻に死なれて寂しい父の気持ちは、わかるような気がする。
でも、女の人とホテルへ行って、父はどんなことをするのだろうか。今泉明彦みたいに、息をはずませて女の体を触って、最後には――。
父とあの女が裸で抱き合うところを想像すると、亜里沙は胸がキュッと痛くなった。
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