官能小説販売サイト 一条きらら 『美少女 赤い喪失』
おとなの本屋・さん


一条きらら   美少女 赤い喪失

目 次
美少女 赤い喪失
フェラチオ体験
女高生・英里子 淫交あとさき
桃色後遺症
処女喪失は二度

(C)Kirara Ichijo

◎ご注意
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡をしますと著作権法、その他関連法によって処罰されます。


   美少女 赤い喪失

  秘密の匂い

 部活のある日だったが、は、さぼることにした。
 一緒に美術部に入っているいまいずみあきひこと、小さな喧嘩をしたばかりだからだ。今泉明彦は高校一年の時からのボーイフレンドである。
 現在、亜里沙は高校二年、十七歳。今泉明彦も同学年、ただし、クラスは二年になってからは別々だった。
 美術部の部室に来て、今泉明彦は多分、亜里沙の姿がないのに失望して、夕方あたり電話をかけてくるかもしれない。
 喧嘩した時、先にあやまるのはいつも明彦の方だった。
 だから亜里沙は、彼をらすつもりで今日は部室にも顔を出さず、家へも電話がかかるかもしれないから、なるべく遅く帰ろうと思った。
 渋谷駅で途中下車して、亜里沙は片手に学生かばんを提げながら、駅前の繁華街をぶらぶらと歩いた。
 午後三時半である。
 ハンバーガーショップに入って、フライドポテトとチーズバーガーとコーンスープを買ってカウンター席で食べた。
 他校の生徒たちのグループが楽しそうにおしゃべりしている。
 こんな店にはやはり、友達と来なくてはつまらないと思った。
 店を出る。ブティックや靴屋のショーケースを覗く。それから書店に入る。
 コミックの単行本のコーナーをゆっくり歩き回りながら、今泉明彦のことが、ふと思い出された。
 彼とはキスをし合う仲だった。Bも、ちょっと体験した。といっても三回ぐらいだ。
 十七歳にもなれば、Cを経験している友達もいるが、亜里沙はそこまでいくのはまだ、ちょっと怖い気がする。
 明彦も、強引に亜里沙に襲いかかったりはしない。それは、彼のやさしさかもしれないが、彼も未経験で勇気がないのかもしれない。
(でも、いつかきっと……)
 彼にCまで許してしまいそうだ。亜里沙の乳房をまさぐったり、スカートの中に手を入れる明彦は、若い男の欲望が止まらなくなる、といった感じなのだ。熱い息づかい。亜里沙をギュッと抱き締めたり、大事な部分に触れる指がブルブルふるえたり……。
 その時のことを思い出して、亜里沙は顔が熱くなった。
 エッチなことを考えている自分が、恥ずかしくなり、思わず周囲を見回してしまう。
 けれども誰も、亜里沙のひそかな、エッチな空想には気づいてもいない。そのコーナーは当然、ティーンエイジャーばかりだ。
 単行本で、愛読している新刊はまだ出てないので、亜里沙はコミック雑誌コーナーへ移動した。
 そこで二冊買う。
 書店を出て、駅に向かって歩いている時、亜里沙は通行人の中に父の姿を見て「あっ」と小さくつぶやいた。
 父は一人ではなかった。
 ワンレン・ヘアの若い女が、父に寄り添うようにして歩いている。
 亜里沙は表情をこわばらせていた。四十八歳の父と二十代の女の二人の姿から、何となく不道徳な匂いを感じとったのだ。
(不倫関係、かしら……)
 と呟いたが、父は独身だから、不倫ではないのだと気づいた。
 母は二年前、クモ膜下出血で亡くなったのだ。
 一人っ子の亜里沙は、それ以来ずっと、二人暮らしだった。
 父と若い女は、あっという間に駅の構内の雑踏に紛れてしまった。
(全然似合わない。パパとあの女の人)
 と亜里沙は、ふくれた顔になる。第一、が離れ過ぎている。
 でも……、パパだって男だ。母を亡くしてこの二年、再婚もしてないし、明彦ほどじゃないにしても性の欲望はあるだろう。
(あの二人、どこへ行って来たのかしら)
(もしかしたら、ラブホテル……?)
(昼下がりの、上司とOLの社内情事……)
 オフィスラブをしている男女が、勤務時間中にホテルへ行ったりする、と亜里沙は最近、美容院に置いてある女性週刊誌で読んだばかりだ。
(不潔だわ、パパなんか)
 小田急線の代々木上原駅に着くまで、亜里沙は頭に血を昇らせていた。
 自宅に帰ってからも、さっき見た父と女の人の姿が眼にきついている。
 妻に死なれて寂しい父の気持ちは、わかるような気がする。
 でも、女の人とホテルへ行って、父はどんなことをするのだろうか。今泉明彦みたいに、息をはずませて女の体を触って、最後には――。
 父とあの女が裸で抱き合うところを想像すると、亜里沙は胸がキュッと痛くなった。
 
 
 
 
〜〜『美少女 赤い喪失』(一条きらら)〜〜
 
*このつづきは、ブラウザの「戻る」をクリックして前ページに戻り、ご購入されてお楽しみください。
 
「一条きらら」 作品一覧へ

(C)おとなの本屋・さん