官能小説販売サイト 北本世之介(監修) 『濡れる女囚たち2〜慟哭ドキュメント〜』
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北本世之介(監修) 濡れる女囚たち2〜慟哭ドキュメント〜

目 次
まえがき
二十話  不倫相手の妻を殺し、現場で男と乳繰りあう独身OL
二十一話 夫殺し共犯の義弟との逃亡さなかの淫獣むさぼり
二十二話 気の遠くなるような悦楽と殺意が同居した若妻
二十三話 性技上手な年下男に溺れた熟女の哀れ
二十四話 妻子ある男への甘い夢に破れて、握った包丁
二十五話 レイプされ、ソープ嬢になった女を濡らす血と涙
二十六話 爛熟娼婦が本気で愛した男と悲しい酒
二十七話 カネと快楽を追求した美人若妻の性の軌跡
二十八話 売春に走った人妻の塀の中での流産と嗚咽
二十九話 平凡なOLを襲ったシャブ中毒と売春の苦海
三十話  愛人の妻は妊娠、私は中絶… 男の裏切りに報復の刃が!
三十一話 マザコン夫に泣かされた薄幸の若妻、殺意への誘惑
三十二話 念願の一戸建だけは手放したくない。やがて妻は夜の世界へ
三十三話 過去からの不吉な電話が鳴り響く。今の幸せを失いたくない女の手に刃が
三十四話 独白〜純情をもてあそんだ恋人の裏切りはチン切りで
三十五話 独白〜15年間の愛人関係を貪った上司一家に報復
三十六話 独白〜三角関係清算のため、夫の愛人の下腹部を抉った正妻
三十七話 独白〜酒乱の愛人、その弟に魅かれ悦びを見つけた私なのに

(登場人物はすべて仮名です)

(C)Yonosuke Kitamoto

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   まえがき

〈愛した男との狂おしい情炎の嵐、初めて知った目もくらむばかりのやるせない歓喜……
 寝ても覚めても男に抱かれる悦びを追いかけていた私を襲ったのは、底知れぬ憎しみと絶望、そして殺意でした。明日のことなど考えもしなかった愛の情念が負の感情に反転したとき、血海の向こうに立ち昇ってきたのは、みずからも傷つき涙も涸れた多くの女達が棲む、高く白い塀に囲まれた無機質の建物だったのです――〉


 二十話 不倫相手の妻を殺し、現場で男と乳繰りあう独身OL

 既婚男性が独身女性をくとき、あらかじめ自分に妻がいることを明らかにする。
 そうでないと、あとで余計なトラブルをひき起こす原因になるからだ。
 筆者(監修者)も、妻子ある男が独身と偽って女に振り回された例をたくさん見ている。
 結婚している男が、妻以外の女性に接近するときは、
「おれには女房も子供もいるが、それでもよかったらつき合ってくれないか」
 そのように、はっきりしておくほうが無難だ。
 妻帯者のなかには、結婚している身だと相手にされないのではないかと考える男もいるが、あとで地獄を見るのがいやなら、そのほうが賢明だろう。
 もっとも、独身の若い女性にもいろいろいて、
「結婚している男のほうがいいわ。だって、もし本気で夢中になっても、彼にはすでに奥さんがいてどうにもならない。惚れっぽい私にとっては、だから、既婚男性のほうがのめりこまずにすんでいい」
 そう考える者もいる。
 しかし、のっぴきならぬ関係に発展していくケースも少なくない。
 既婚男性と独身女性との恋愛は、特殊な例外を除き、実を結ばないのが通例である。
 実を結ばない愛の形なのだと、二人が最初から承知し、一定の冷めた距離を置いて接しているうちはいいが、この距離感を維持するのが難しい。
 なまなかな姿勢では、この禁断の愛のかたちは成長しないのだ。
 禁じられた愛の関係だからこそ、心の内に隠微な愉楽をともなう。
 けれども、人間は感情の動物であって、激情に振り回されるもの。
 愛の嵐に巻きこまれ、もう引き返すのが困難な場所まで来てしまったとき、禁愛者はどこへ向かうのか。

 こいぬまが既婚者のてんどうゆういちと親密な仲になったとき、彼女は二十二歳で彼が二十七歳だった。
 高校を出ると、郷里の北関東で四年ほど事務員として真面目に働き、同居していた母親が、しだいに結婚話を持ちかけるようになってきた。
「女の子はね、健康でちゃんとした男と一緒になるのが一番の幸せなんだよ」
 母親の口グセだった。
 親の持ってきた縁談に、仕方なく三回ほどつき合ったことがある。
 だが、いずれの男も真面目で仕事熱心であり、健康だったが、どうしてもいま一歩、由紀が踏みこむには何か決定的なものが足りないと思った。
 高校は市立の女子校で、男の子とは無縁だった。
 体育の若い教師にあこがれを抱いていたが、地味でこれといった特徴のない由紀の出る幕はなかった。ほかに可愛い女子生徒がたくさんいたからだ。
 高卒後、地元の大手肥料会社の女子事務員になり、二十歳のとき、出入り業者の若い営業マンによって初めて性を知った。
 たいして好きでもなかったが、性への好奇心は以前からあって、早くその世界に飛びこんでみたいと、由紀は考えていた。
 彼の車で郊外のモーテルに連れて行かれ、生まれて初めて目にする男のもので貫かれた。
 出血はしたが、思ったほどの痛みは伴わなかった。
 痛みはなかったが、予想していたほどの感激もなかった。なにかひどくあっけなくて、こんなものかと思った。
 その男とは一回で別れ、次に社内の、離婚歴のある三十代の工場労働者と肉体関係を持った。
 この男はなかなか技巧に富んでいたが、決定的なのは、由紀が男に対して、彼が彼女に注ぐほどの熱意がなかったことだ。
 要するに恋愛感情がない。
 下半身には官能のたかまりを覚えるようになっていたが、ふるえるような精神の昂揚感はゼロだった。全的な、つまり身も心もとろけるような感動を経験していないのだった。
「わたしって、精神的に不感症なのかしら。ううん、そうじゃないわ。まだわたしにふさわしい騎士ナイトに出会っていないのよ」
 由紀はそう考えるようになっていた。
 だから、親が縁談を持ちこんできても、承服できなかった。それにできるような対象には出会わなかった。
 親はいい顔をしなかったが、家出同然に由紀は上京したのである。
 アパートを借りて、しばらくは貯金で食べていける余裕があった。
 住んだ所は都内北部で、JR池袋から出ている私鉄T線のT駅そば。周囲は高級住宅街である。
 そのT駅そばの中堅不動産で働いていた天堂有一が、上京して初めて親しく口をきいた最初の男だった。天堂が、アパートの世話をしてくれたのである。
 駅前の和風レストランを何度か利用するうち、天堂としばしば顔を合わせ、
「今度、お酒でも飲みに行きませんか」
 デートに誘われたのだ。
 どこか俳優のあまみやりょうに似てセクシーな男であり、いつもがんしゅうをためたようなその表情にすっとぼけた味があった。
「嬉しいわ。でも、天堂さんには奥様がいらっしゃるんでしょう」
「いますよ、一人だけど」
「二人もいたらおかしいわ」
「女房は看護婦でしてね、夜勤がときどきある。家に帰っても一人でつまらないからムサ苦しい男どもと飲み歩く。たまには鯉沼さんのようなチャーミングな女性にご一緒願えたら、と前から思っていたんです」
「ふっふ、お上手なのね」
 ホメられて、気分の悪い女は少ない。
「でも、女房がいながら、若くて可愛い独身女性をお誘いするのは、やっぱり図々しいでしょうか」
「ええ」
「おやおや。これは困った」
「でも、相手によりますわ」
 時間が一瞬、粘りつくのを由紀は感じた。


 
 
 
 
〜〜『濡れる女囚たち2〜慟哭ドキュメント〜』(北本世之介(監修))〜〜
 
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