官能小説販売サイト 北本世之介(監修) 『愛姦蜜戯4〜投稿ドキュメント〜』
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北本世之介(監修) 愛姦蜜戯4〜投稿ドキュメント〜

目 次
◎中 節子
(仮名・52歳)
◎広木田恭介
(仮名・32歳)
◎向後ひとみ
(仮名・28歳)
◎佐渡谷淳史
(仮名・33歳)
◎二木紘彦
(仮名・21歳)
◎東淵江ひとみ
(仮名・29歳)
◎波瓦佐知江
(仮名・53歳)
◎袋 輝也
(仮名・35歳)
◎薬師神やよい
(仮名・39歳)
◎下条和久
(仮名・会社員・20歳)
◎覚 代志子
(仮名・45歳)
◎牧 記代子
(仮名・専業主婦・54歳)
◎二階堂珠美
(仮名・有職主婦・56歳)
◎梶岡巳佐夫
(仮名・元探偵・45歳)
◎中都留五十鈴
(仮名・専業主婦・28歳)
◎秋月香代
(仮名・スッチー・28歳)
◎花岡香織
(仮名・専業主婦・29歳)
◎仲村ひと美
(仮名・専業主婦・27歳)
◎谷 純代
(仮名・有職主婦・26歳)
◎味方美智子
(仮名・観光バス会社勤務・27歳)
◎網干志乃
(仮名・ピアノ教師・32歳)
◎宮脇かずえ
(仮名・専業主婦・25歳)
◎吹浦雪乃
(仮名・専業主婦・28歳)
◎鍵谷綾乃
(仮名・ホテル勤務・28歳)
◎郡 毬子
(仮名・会社経営・28歳)
◎手島みどり
(仮名・パート主婦・28歳)
◎徳大寺静江
(仮名・有職主婦・24歳)
◎上寺加奈
(仮名・ナース・31歳)
◎佐渡谷悠子
(仮名・主婦・26歳)
◎丸 さとみ
(仮名・団地妻・24歳)
◎恒吉江里子
(仮名・秘書・26歳)
◎伊沢みずほ
(仮名・有職主婦・32歳)
◎八木原礼子
(仮名・主婦・29歳)
◎奥 加奈子
(仮名・主婦・29歳)
◎浅輪みどり
(仮名・専業主婦・29歳)
◎門川市子
(仮名・生保レディ・30歳)
◎嶺 由美
(仮名・主婦・30歳)
◎稲塚理香子
(仮名・団地妻・28歳)
◎江島俊介
(仮名・21歳)
◎神坂宏幸
(仮名・28歳)

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   ◎中 節子
(仮名・52歳)

  息子との毎晩の情事

 上野駅を出るときに夫がお弁当と一緒に買ってくれた缶ビールを半分ほど飲んだのがきいたのか、けっこうウトウトしたようです。
 それは夫も同じで、目を開けて首だけ少しひねると、夫の穏やかで品のいい寝顔がすぐ私の横にありました。
 夫、といっても、彼は正式にはこの日から私の夫となるんです。
 お互いに再婚同士。結婚式はあげずにただ二人で役所へ結婚届けを持っていっただけですが、お互いの近親者のみ招いてささやかな小宴を持ちました。
 人数のバランスを考え、お互いの血のつながった親や兄弟姉妹と子供だけ。兄弟姉妹の連れ合いや、その子の甥や姪、また孫も呼ばず中華料理店で小さな披露宴を私と夫の主催で行ったのです。
 もっとも、私には子は息子しかおらずしかも息子は28歳の独身で、だから私にはまだ孫はいません。
 夫の三人の子供と私と息子のみ私たちを上野駅まで送ってくれました。
 首を反対側にひねると、無機質なビルが林立する都会の風景と打って変わってのどかな東北の田舎風景と、それを遠く囲むように紅葉の始まった山の連なりが車窓に次々と映ってきます。
 そののどかな田園風景の中から、ふっと息子の秋彦の人なつこくシャイな顔が浮かび上がりました。
「行ってらっしゃい、行ってらっしゃい」
 上野駅のホームから新幹線がゆっくりすべりだすと、夫の三人の子供たちは思わず小走りに駆け寄ってきましたが、息子は身動きせず彼らの後ろでただにこやかに片手を振っていました。
 一昨夜、めずらしく私の腕の中で甘えるようにして、
「母さん、おれはサヨナラはいわないよ」
 といっていた通り、行ってらっしゃいの言葉とともに笑みを浮かべ手を振るだけでしたが、彼の目にはうっすらと涙が光っておりました。
 つられて私も熱いものが込み上げましたが、夫に悟られるまいとして、
「お店で済ませてくればよかったのに、ごめんなさい、ちょっとおトイレ」
「ああ、お疲れさん、ごゆっくり」
 優しい夫は気づいていたのか、気づかないでか、さりげなく応じていました。
 他にも再婚の話はありましたが、私が彼を選んだのは、妙な話かもしれませんが、彼の紳士なところと誠実さ、それからふとデイトのときに見た彼の眠っているときの寝顔でした。
 デイトはいつも昼間で、あれは昼食のあと一緒に映画を観に行ったときのことでしたけれど、ふと見ると無防備で平和な、そして可愛らしい寝息をこぼしているときの彼の寝顔が品が良かったのです。
 私よりひと回り年上で63歳の彼は、ある中堅企業の下部長職にあり、60歳で退職する気でいたのが、社長に請われて後進の指導に当たっていました。
「もう私なんかお役目ご免だと思うんですが、どうも若い者ばかりだと社長も淋しいらしくて、たまに愚痴をいう相手がほしいんでしょうな……」
「ご人徳ですわ」
「いや、とんでもない、はっはっは」
 笑いかたひとつとってみても、どこか気品がありました。
 正直に打ち明けると女は、いや私に限ったことかもしれませんが、見合いの席で私は今後、普通に考えたら毎晩、相手と一緒に寝ることになることについて想像しないわけにはいきません。
 息子との連夜といってよい激しい情事を知ってしまった私は、難病に苦しむ夫を五年にわたって介護し、夫を見送ったあとの三年間、それまでそんな世界が存在したのかと驚き、そして喜悦しっぱなしだったものですから、なおのこと見合い相手を慎重に“品定め”していました。
 夫が病いに倒れた五年間、それまで私を誠実に愛してくれた夫の恩に報いるためにも、そして夫との愛の結晶である息子が一人前の人間に育つまでという気持ちで私は、女の情念を封印したのです。
 そのことになんの悔いもありはしないし、むしろ経済的には兄弟姉妹に借金するなど大変でしたが、夫の看病を尽くす私の背中を見て育った息子は我慢や人間の情や情愛について、期せずして大いに学んでくれた気がします。
 後半はほとんど会話もできなくなっていた夫の食事やオムツの世話までも文句ひとついわず、そしてどこか突き抜けた私の乾いた明るさも息子にとっては学ぶべきものが多かったみたいでした。
 むろん私は妻として、人間として本分を尽くしただけであり息子の目は少しも意識していませんでした。
 息子は名門私大の理工系に学び、奨学金と、夏休みや春と冬の休みに集中的にアルバイトして自分の学費を立派に稼ぎ出して卒業してくれたのです。
 地元の最も有力企業に就職しエリートコースを歩み出してはいましたが、家計を助けるためにインターネットを使ってさまざまなアルバイトを見つけては、
「給料よりアルバイトのほうがいい稼ぎになるよ」
 就職して二年足らずで、私が兄弟姉妹から借りたお金を返済してくれました。
 お金はむろん有難かったですが、息子の父と母を気遣ってくれるその思いやりがお金よりも涙が出るほど嬉しかった。
「あんた、秋彦は立派に育ってくれたよ。いま初めて告白するけど、私らの借金もね、秋彦が二年で完済してくれたわ」
 もう口が聞けなくなっていた夫はうーうー唸り、言葉の代わりに両目をカッと開いて大粒の涙を流しました。
 そして、とうとう夫を送り、49日を過ぎてから間もなく、のっぴきならない息子とのただれるような不らちな関係が始まりました。それは後述することにして、私が未亡人になってから言い寄ってくる男たちはかなりいました。
 もうそのときには息子との捨てがたく甘美な背徳的関係が深みにはまっていましたが、半分は息子との秘密の関係に疑いの目を持たれたくないため、そのために複数の見合いの席に着きました。
 最初は仲立ちしてくれた人の顔を立てて誰彼の区別なく一度は相手の人とお会いしましたが、中にはひと回り年下の独身男や70過ぎた自分の亡父にも等しい男を連れてきた者もいてショックでした。
 しかも、その70過ぎた男など明らかに私にオンナを見る粘っこい視線を這わせ、自分と一緒になれば一生食うに困らぬ生活を保障するといった言い草でした。
 私は、いささか乱暴にいえば、
「こんなスケベじじいに毎晩抱かれるなんて、冗談じゃない」
 と内心で思いました。
 結局、今日から夫となる彼を選んだのは、約一年間にわたるデイトの最中、彼は一度も私をホテルに誘うなどの下品な行動がいっさいなく、また亡き夫人のことを心から愛していたという誠実さも感じられたからであり、彼になら抱かれてもよい気になったこと、そして直感的に淡白だが性達者な感じがしたからです。
 限度を知らぬような息子みたいな激しさでは今後、段々と枯れてゆきたいと願う私にとって困る気がしたのです。

  挿入されると思考を停止

 息子と初めて肉体をつなげてしまった、しかも五年以上も性から遠ざかっていたせいもあって、天と地が引っくり返ったような衝撃を受けて私は、それ以来堰が決壊して川の水が一気にあふれ出すのに似て息子との濃厚な交わりに惑溺していきました。


 
 
 
 
〜〜『愛姦蜜戯4〜投稿ドキュメント〜』(北本世之介(監修))〜〜
 
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